ルバイヤート

ロナルド バルフォア
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装丁、中の挿絵、ともに贅沢に美しい見応えのある本。
ルバイヤートは中世ペルシアの四行詩。日本人にはあまり馴染みがないが、幻想的で甘く酔うような独特の雰囲気がある。
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 とにかく装丁と挿絵が美しい。
 挿絵は黒をベースに部分的に色を配し、繊細な画風がどことなく艶めかしい。文字本文にも深い青を使用するなど、何から何まで凝っている。
 四行詩そのものも訳が流麗で、幻想的で甘く、幾らか耽美な独特の世界を美しく表現している。
 この本をこの値段で提供している出版社に惜しみない拍手を贈りたい。

タロット大辞典


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初心者にも分かりやすい工夫がなされたタロット教本。
しかし宗教色が強いので読者を強烈に選ぶ。
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 箱入りで装丁が美しいタロットの教本。大辞典というタイトルではあるが、別に辞典形式ではなく、普通に初心者向けのタロット本である。
 内容としては初心者でも分かりやすく飽きずに読めるよう書かれたタロット占いの教本。各カードに独自のストーリーが付されているなど、随所に工夫は見える。
 しかし何といっても全面に筆者が信奉する(たぶん)ミトラ教の教義が押し出されていて、タロットの本というよりはミトラ教教義書でも読まされているような気分になってくる。
 タロットの解釈そのものはさほど突飛でもないが、初心者向けの本としてこの値段を出すなら他に幾らでも良書があるので、敢えてこれを選ぶ必要はないという気がする。

史記:7 思想の命運

西野 広祥
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徳間書店の史記、実質的な最終巻は歴史の大きな流れからやや脇道にそれ、思想家や文人、学者たちの伝を取り上げている。史記の筆者である司馬遷自身の自伝を含む、思想の源流を探る旅。
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 徳間書店の「史記」、七巻目。
 残す八巻目は別巻であり、史記小辞典なので、実質これが最終刊であります。
 この七巻と六巻は今までの巻とは少々趣が違い、特定の時代に生きた人たちの事績から歴史を追っていくという形ではなく、思想家や文人、学者などの有名人を年代に関係なく集めた形式。国政とはあまり関係ないものの、重要であったり特徴的であると思われる人たちの伝記が集結しているわけだ。

 お馴染みの孔子と愉快な仲間たちから始まって、司馬遷自身の自伝まで。誰もが知っている有名人が多いが、中国古典とあまり馴染みのない人には聞き慣れないかもしれない名前も幾つか見られる。
「中国の思想」シリーズでも言えることだが、徳間の中国古典ものは解題が面白い。今作でも理想主義を掲げ諸国を放浪した(せざるを得なかった)孔子の儒教が、後には権力者たちが権勢を維持するための道具となっていく皮肉がここに解説されていて、なかなか面白い。

 諸子百家の有名どころはざっと触れているので、思想シリーズから入った人には一番「馴染み深い」巻だろう。これ一冊で独立して読める感がある。


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2008年10月27日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資料/歴史

史記:5 権力の構造


大石 智良
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高祖劉邦の糟糠の妻、女傑呂后の独裁から、漢史上もっとも象徴的な帝となった武帝の時代まで、劉邦没後約100年間を取り扱う。「人ブタ」事件で知られる呂后の凄惨な復讐劇とその心底にある孤独。英主と言われながらも晩年は神仙に焦がれて、怪しげな道士たちを招き入れた武帝。権力者たちの光と影が交差する様を描き出す。
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 徳間の史記はこの五巻までが人物伝の形を取りつつ歴史を追っていく形で、六巻は滑稽列伝など少々趣の違う伝が並び、別巻となる七冊目は史記小辞典。従って中国の歴代王朝やその合間の歴史を追った伝はこの五巻が最後であり、司馬遷にとって「リアルな」主君であった武帝の代を描いて終わっている。

 前回、史記四巻を紹介した時に、小生、勢い余って呂后の伝について触れておりますが、実際に呂后の大活躍が詳しく記載されているのはこの五巻でありました。お詫びと共にここに訂正させていただきます。

 というわけで、この五巻はその章題からしてズバリ「呂后一代記」から始まる。つまり、

 陰惨な女の戦いとその結末

 が冒頭に入るという、非常にエキサイティングな仕上がりであります。更に何代かを経て、前漢の歴史上、高祖の劉邦を覗けば特別な光を放っている(そして同時に影を産み落としてもいる)武帝の伝記で終わるこの巻は、筆者の司馬遷にとっても自分が生きた時代とその近辺を描いた「リアルな」歴史でもあったことでしょう。


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2008年10月23日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資料/歴史

史記:4 逆転の力学


和田 武司
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日本人にも比較的馴染み深い劉邦と項羽の闘争の記録。中国最初の統一帝国・秦が倒れ、その後継を巡って二人の英雄が激しく相争う。そして項羽を下した劉邦は天下統一後に功臣たちの粛清を開始し、その劉邦もまた晩年には己の後継を巡ってままならない現実に直面する。
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 史記の四巻目は、日本人にも比較的馴染みの深い、漢帝国創設前後がメイン。つまり劉邦と項羽が秦を打倒し、更に天下を巡って争う様子。
 英雄並び立たずとばかりに戦う二人でありますが、片や軍事の天才にして颯爽たる貴公子の項羽、片や低い身分から出て時には敗戦を続けながらも、部下を上手く使ってしぶとく生き延びる劉邦。二人の英雄の対比も鮮やかに、動乱の時代が美しく描き出される。中国史の中でも特別面白いあたりかもしれません。
 何しろ両者がっぷり四つに組んで死闘を繰り広げること、五年
 この五年が戦乱の歴史として長いか短いかというとどちらかというと短い方かもしれませんが(のちの三国志などを考えると)、それにしたって五年間、寝ても覚めても同じ相手と戦い続けるわけです。
 しかも少年漫画の如く途中で友情が芽生えて勝敗がなあなあになるなどという甘っちょろいこともなく、まさに死闘。
 お前が死ぬか俺が死ぬか。
 その覚悟での戦いが中国全土を巻き込んで繰り広げられるわけであります。




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2008年09月23日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資料/歴史

史記:3 独裁の虚実


丸山 松幸
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中国の歴史上、初めての天下統一を成し遂げた秦の始皇帝。法家の術を武器に改革を推し進め、冷酷なまでに徹底して臣下を支配する。秦の統一から滅亡まで、激動する時代の絵巻。
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 前巻では戦国時代の目まぐるしい各国謀略戦がメインだった史記。三巻目のここでは始皇帝の天下統一、そしてその秦が滅びるまでが綴られる。
 小生の私感で言わせていただくなら、中国の歴史を読む時は王朝が始まる前後、つまり立ち上がるときと滅びる時が最高に面白い、と思う。三国志などがその最たる例で、奸臣どもが古き王朝を食い荒らして傾けるかと思えば、とんでもない大悪党が出てきてブイブイ言わせ、更にその悪党を倒すべく英雄たちがポコポコ出てきて、最後にはその英雄同士の食い合いが始まる。実に血湧き肉躍るロマンである、と言わざるを得まい。
 その興亡と滅亡がこの一冊にぎっしり詰まっているわけで、もう面白くないわけがないのだ。しかも興って滅びるのは中国最初の統一国となった秦である。スケールが違うのだ。

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2008年09月19日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資料/歴史

史記:2 乱世の群像

奥平 卓
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徳間書店ハードカバー版の史記、第二巻目。前巻では春秋の時代までが綴られたが、本巻ではその春秋の世からダイナミックな戦乱の時代へと突入していく。中国の戦国時代、生き残りをかけて闘争を繰り返す「戦国の七雄」。戦火の絶えないこの時代は、論客刺客の活躍した新しいタイプの才能が煌めいた時代でもある。
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 一巻目を紹介してからかなり時間が経ってしまったが、今回は史記の第二巻、「乱世の群像」を。
 無論、この期間ずっと続きを読まずにいられたわけではない。このシリーズ、訳文が読みやすいせいもあり、一冊読むと止まらず、睡眠時間を削って貪るように読むことになる。なので、購入する時はある程度の巻数を纏めて注文してしまうのをお勧めする。小生は(主に小遣いのやりくりの関係で)二冊ずつぐらい注文したため、続きが来るのを一日千秋の思いで待つハメになった。
 ブログに書くのが遅れたのは、単にこの間に秘本三国志に十八史略にと、他の本を読むのに熱中して忘れていただけだ。


 春秋時代、桓公を初めとする覇者の時代が終わりを告げると、生き延びた国の数はますます絞られ、そのためにいっそうシビアで激しい主導権争いの戦国時代に突入する。後には秦という大国が現れ、その秦にいかにして対応するかが焦点となり、より血生臭くよりスリリングな時代に突入するわけだ。


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2008年09月14日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 資料/歴史

史記:1 覇者の条件


司馬 遷
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司馬遷が書き記した大歴史書「史記」。本巻は伝説の聖王たちの時代から周王朝を経て、斉の桓公を初めとする覇者の記録、そして呉越の凄惨な戦いまでを取り扱う。
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 徳間の「中国の思想」シリーズを読み終えたので、次は徳間の史記を読み潰していこう。

 実に分かりやすい進軍路である。

 取りあえず小生はいかに本棚のスペースが圧迫されようが読みやすさにおいてハードカーバーの方が好きなので、徳間文庫の史記ではなくハードカバーの新装改訂増補版をチョイスすることとした。徳間のハードカバーは取りあえず表紙が美しい。十八史略なんぞみると新装改訂される前の表紙の方が好みであるが、在庫切れが多いので仕方あるまい。

 思想家シリーズの幾つかは誰が書いたのかハッキリしないのに対し、史記の作者は司馬遷であることは間違いない。この司馬遷なる人もまた、歴史の激流の中で数奇の運命に翻弄された人であった。
 父親の代から立派な歴史書を書き上げんと志し、司馬遷はその為に幼少の頃から英才教育を受けて育ったようである。まさに生まれてきた瞬間から歴史を書き記す為にある人生。
 その願い叶って順調に準備を始め、順調に仕官して順調に執筆をスタートさせるが、そこで人生が一変する。李陵なる将軍が功績があったにも関わらず武帝の怒りに触れ、その処分を検討されることになった。司馬遷は彼を弁護して助けようと試みるが、失敗。李陵は処刑されて自らも死か宮刑かという選択を迫られる。

 宮刑とはつまり、去勢されて宦官となることだ。大変な恥である。また恥かどうかは別としても、男性からすると死と天秤にかけるに値するできごとであろう。司馬遷も悩みに悩むが、たとえ生き恥を晒すことになっても自分には果たさねばならぬ使命があると決意し、刑を受けて宦官となり、ついにこの大著作を完成させるわけである。まさに歴史の為にある人生。もの凄く使い道の明確な人生である。

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2008年06月23日 | Comment(2) | TrackBack(0) | 資料/歴史

中国の思想:8 管子


松本 一男
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古代中国の春秋時代、斉の国の名宰相である管仲の言行録。孔子や墨子とは少々趣が異なり、こちらは人間とはなんぞやというよりは、政治哲学について語られている。現代にも通用する政治哲学の金字塔と言えるだろう。
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「徳間の中国の思想シリーズの旅も終了だぜイエー」と言い放った後に気付きました。あれ、管子忘れてる、って。
 よりにもよって管子。小生がこのシリーズで韓非子の次に好きな管子……!

 管子は春秋時代の斉の国で名宰相と名高かった人で、本名は管仲という。その管仲の言行録として記されたのがこの「管子」であります。時代としては、孔子よりもかなり前。なので、論語で孔子が管子のことを(少しばかり批判的に)取り上げたりもしているわけです。


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中国の思想:別巻 中国の故事名言



和田 武司
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我々にとっても馴染みの深い、中国の故事名言を集めた一冊。よく知った言葉の意外な出典や、本来の意味など。短い中に面白く読めるエピソードを纏めて、「ちょっと読む」のに丁度良い。
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「徳間の中国の思想シリーズを読み潰す旅」もいよいよこれで最後。最後の一冊はこのシリーズの別巻となる「中国の故事名言」であります。
 タイトル通り、中国の故事や様々な書から引かれた名言を紹介した本で、それぞれに短めの文章で意味やエピソードを紹介している。
 これと似たような種類の本はもう唸るほど出ていて、このシリーズの編集委員のお一人でもある守屋先生の「中国古典 一日一語」だとか、はては「ビジネスで使える故事成語」みたいなものまで書店で溢れかえっている。なのでどれを読むかはお好みなのだが、徳間のシリーズを読んでいた人にはこの本の方が文章も馴染み安いであろう。


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